十住心(十段階の心)(じゅうじゅうしん)
空海(弘法大師)が『十住心論』や『秘蔵宝鑰』で説いた、人間の心を10段階のレベルに分類した思想です。
欲望のままに生きる凡夫から、真言密教(最高位)へ至る心の成長プロセスを体系化しており、迷いの心から悟りの心へと高まる「精神的な地図」として知られています。
- 異生羝羊心(いしょうていようしん): 欲望のままに生きる、凡夫そのもの。
- 愚童持斎心(ぐどうじさいしん): 倫理や道徳(儒教)に目覚めた心。
- 嬰童無畏心(ようどうむいしん): 宗教的な救いを求める(バラモン教)心。
- 唯蘊無我心(ゆいうんむがしん): 自己に執着しないことを知る(声聞乗)心。
- 抜業因種心(ばつごういんじゅしん): 因果の理法に気づき、迷いの種を断つ(縁覚乗)心。
- 他縁大乗心(たえんだいじょうしん): 慈悲の心を持ち、他者を救おうとする(法相宗)心。
- 覚心不生心(かくしんふしょうしん): すべては空であり、実体がないと悟る(三論宗)心。
- 一道無為心(いちどうむいしん): 平等不二、真如の理を悟る(天台宗)心。
- 極無自性心(ごくむじしょうしん): 互いが存在し合う「華厳」の境地(華厳宗)心。
- 秘密荘厳心(ひみつしょうごんしん): 即身成仏の境地。真言密教の心。