天台寺門宗(てんだいじもんしゅう)
平安時代の9世紀後半(智証大師
円珍が866年に
園城寺を再興した頃)から始まり、10世紀後半の
比叡山延暦寺(
山門派)との対立の中で確立されました。
天台宗の一派で、総本山を滋賀県の園城寺(三井寺)とする仏教宗派です。宗祖は平安時代の智証大師で、
顕教(法華経などの教え)と
密教(大日経などの秘密の教え)に、日本古来の山岳信仰と仏教が融合した修験道を加えた
五法門を実践する宗派。
大乗仏教の宗派のひとつである。妙法蓮華経(
法華経)
を根本経典とする。高祖は中国南北朝時代から隋の時代の天台大師智顗。
菩薩行の実践にあります。
菩薩とは、
お釈迦さまが到達されたる
菩提(ぼだい)(悟り)の境地を求め、同時に人々を救うための実践行をおこなう修行者のことです。
天台寺門宗では、この教えを「自利化他の菩薩行」、「上求菩提下化衆生」という言葉で呼び、わたしたち一人一人が、菩薩となって、自らは悟りを追求しながら、同時に、人々と互いに手をつなぎ助け合っていくこと(「
済世利人」、世を済い、人を利すること)、そして、すべての存在が平等で、平和な世界をみんなで築いていくことを目指しています。
- 開祖:第5代天台座主・智証大師円珍が開祖
- 平安時代の天台宗の開祖、伝教大師(最澄)の入滅後、智証大師が比叡山から下り、園城寺を拠点としたことで一派が形成されました。
貞観8年(866年)に太政官牒(だじょうかんちょう)によって教法が正式に認められ、天台寺門宗としての礎が築かれました。 - 本尊:釈迦如来
- 総本山:園城寺(三井寺、滋賀県大津市)天台寺門宗のすべての頂点に立つ根本道場。
別格本山:金倉寺(こんぞうじ)(香川県善通寺市)宗祖である円珍(智証大師)が誕生した地とされる、四国八十八箇所霊場の第76番札所
天台三宗(天台宗・天台寺門宗・天台真盛宗)
教えと特徴
五法門:
顕教、
密教、
禅法、
戒律、
修験道を統合した教えを柱とします。
顕教・密教・修験道の鼎立:顕教(円教)、密教、修験道の三つの道を一体として実践し、
済世利人(世のため人のため)の教えを重んじます。
根本経典:根本経典は『
妙法蓮華経(法華経)』です。
- 円珍(814〜891年)は、平安時代に活躍した天台宗の僧で、天台寺門宗(三井寺・園城寺)の祖です。第5代天台座主となり、入唐八家の一人として唐で密教を学び、多数の聖教を持ち帰りました。智証大師(ちしょうだいし)の諡号(しごう)でも知られる高僧です。
- 顕教(けんぎょう)とは、仏教において釈迦が言葉や文字で明瞭に説き示した教えのこと。秘密の教えである「密教」の対義語。経典に基づき、衆生の能力に応じて教化する法華経、華厳経、浄土経典などが含まれ、修行を通じて悟りを目指す一般的な大乗仏教を指すことが多い。
- 五法門:天台宗の基本である「円・密・禅・戒」の四宗兼学(ししゅうけんがく)に、独自の伝統である「修験」を加えたものです。
- 円(円教):お釈迦様の究極の教えであり、全てのものが本来仏であるという「法華経」の悟り(顕教・止観の行)。
- 密(密教):仏と一体になるための神秘的な実践(祈祷や護摩などの真言密教)。
- 禅(禅法):心を静めて真理を観察する瞑想の修行。
- 戒(戒律):仏教徒として守るべき倫理やルール。
- 修験(修験道):大自然の山岳にこもり、厳しい修行を通じて超自然的な力を得る実践。
これらを一体として修行し、自分を高めつつ社会の人々を救う(自利利他)ことが究極の教えとされています。 - 太政官牒(だいじょうかんちょう)とは、律令制下の日本において、最高行政機関である太政官(だいじょうかん)から、直接の管轄・命令系統下にない組織(主に寺社や僧綱など)へ発給された公文書のことです。「官牒(かんちょう)」とも呼ばれます。
- 禅法(ぜんぽう)とは、仏教の禅宗において、姿勢を調え、呼吸を整え、心を静めて精神統一を図る修行法のことです。主に座禅(坐禅)を通じて、雑念を払って真理を悟ろうとする実践的な方法を指し、禅宗では特に重要視されています。心と体を整え、自己本来の姿を見つめるための瞑想技術です。
- 妙法蓮華経(みょうほうれんげきょう、略称:法華経)は、お釈迦様が晩年に説いた、すべての人が成仏できると説く全28章からなる仏教の根本聖典です。泥の中でも清らかな花を咲かせる「蓮華」のように、苦難の中で清浄な真理(妙法)を見出す教えであり、特に日蓮宗や天台宗で重んじられています。
- 日本の主要宗派:総本山・大本山一覧
- 園城寺(三井寺) ・滋賀県
- 43番札所 源光山 円手院 明石寺・愛媛県
- 76番札所 鶏足山 宝幢院 金倉寺・香川県