主家の家宝である10枚組の皿を1枚割ってしまった腰元お菊が、主人に手討ちにされ井戸に投げ込まれた後、幽霊となって夜な夜な皿を数える怪談
旗本、青山播磨と腰元のお菊とは相思相愛の仲だが身分の違い故、なかなか結ばれることは無い。小石川に住む播磨の叔母は大名の娘との縁談を持ちかけるが、お菊を想う彼は全く受ける気はなかった。青山家には先祖代々伝わる高麗焼の十枚組の皿がある。家宝であり1枚でも割ったらその者の命は無い。

ある日のこと、水野様が来るのでこの皿を盛り付けに使うという。お菊は殿様が叔母さまから紹介された方を嫁に貰ったらどうしようと気がかりでしょうがない。十枚の皿を目の前にしたお菊は、殿様の本当のお心が知りたいと、1枚の皿を柱に打ち付け割ってしまう。
割れた皿を家来の十太夫が見つけ慌てていると、播磨も部屋へ入ってくる。
お菊は高麗の皿を割ってしまったことを播磨に告げるが、粗相なら仕方ないと播磨はこれを一旦は許す。割れた皿は井戸に投げ捨ててしまう。
お菊には年老いた母親がいる。母親をこの屋敷に呼び寄せ、自分を婿にすれば良いと言ってお菊に求婚する播磨。
そこへ十太夫が血相を変え部屋に駆け込んできた。お菊が皿を割ったのは粗相ではなくわざとであった。
同じ腰元であるおせんが見ていたのだ。播磨はなぜ皿を割ったのかをお菊に問うと、殿様の本当の心を試そうと思った、皿が大事か自分が大事か試そうとしたと打ち明けた。これを聴いて激怒した播磨は、お菊を押さえつける。

自分がお菊を想う気持ちは男の誠の心であるのに、その心を疑うお菊を断じて許せなかった。
1枚、2枚、3枚…。播磨は残りの皿を1枚1枚お菊に取り出させ、それを刀の鍔で次々と割ってしまう。家来の権次はこれを止めようとするが、さてはお主はお菊に懸想しているなと彼を斬り殺してしまう。続いてお菊も斬り殺される。2人の死骸は井戸の中に投げ込まれた。
夜、一生の恋が潰えたと酒をグイグイ飲む播磨。突然行燈の油が尽きて火が消える。1枚、2枚、3枚…、聞こえるのは恨めし気なお菊の声。
迷って出たお菊の霊は播磨の顔を睨みつける。続いて権次の霊も現れる。狂ったように刀を振り回す播磨。やがて疲れ果て播磨は倒れ込んだ。その後も毎夜、井戸からお菊が皿を数える声が聞こえたという。
関連
- 窓誉寺(和歌山市):著名な「番町皿屋敷」の伝承で、主人公のお菊の供養のため、青山主膳が叔母に託した皿の一部が保管されているとされます。
- お菊神社(姫路市):より古い「播州皿屋敷」の伝承を元にした神社です。姫路城にまつわる伝説の中での怪談話「播州皿屋敷」の主人公の「菊姫命」が祀られています。
- 築土神社(千代田区):神社自体が皿屋敷の舞台であるわけではなく、伝説に登場するヒロインお菊の怨念を鎮魂する場所の一つとして見られており、神社の境内にはお菊を供養する「お菊塚」が存在します。江戸番町で旗本・青山播磨に仕えていた腰元お菊が、家宝の皿を割った罰で殺され井戸に投げ込まれたという逸話に基づいて建立されました。