お千代が歌った手まり唄が原因で、父親が人柱にされて殺されてしまうというものです。父親の死後、口をきかなくなったお千代が、ある日、雉を撃たれたのを見て「雉も鳴かずば撃たれまいものを」とつぶやいた後、姿を消したという悲しい結末
犀川という川のほとりに、小さな村があった。この川は毎年秋の大雨になると氾濫し、村人を困らせていた。この村に弥平という父親とお千代という娘が二人で暮らしていた。お千代の母親も先の洪水で亡くなってしまっていた。

ある年の秋、お千代は重い病にかかるが、貧乏な家なので医者も呼ぶことができない。お千代はかつて一度だけたべたことのあるあずきまんまが食べたいと言う。小豆を買うお金のない弥平は、地主の倉から米と小豆を盗んで、お千代に食べさせてやった。その甲斐あってか、お千代はすっかり良くなった。お千代は父親が畑仕事に出かけているあいだに、手まり歌で「あずきまんまたべた」と歌ってしまう。
その夜からまた雨が激しくなり、村人たちは咎人を人柱にしようと相談しあった。そこでお千代の手まり歌を聞いた者が、弥平が地主の倉から盗みを働いたことを話すと、弥平は役人にひったてられて、人柱として川のほとりに埋められてしまった。お千代は何日も何日も泣き続けたが、ある日ぴたりと泣きやみ、それ以後一言も口を聞かなくなってしまった。
それから何年もの年月が流れた。猟師がキジの鳴く声を聞いて鉄砲で撃ち落とした。キジの落ちたところに向かうとお千代がキジを抱いており、「雉よ、おまえも鳴かなければ撃たれないですんだものを」とつぶやく。お千代は自分が手まり歌を歌ったばっかりに父親を殺されてしまったことをキジに重ねてそう言ったのだ。それ以後、お千代の姿を見た者はいない。
この物語は、
不注意な発言が自分や家族に災いを招くことを戒める教訓を含んでいます。
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