七曜・九曜(しちよう・くよう)
曼荼羅
七曜(しちよう)と九曜(くよう)は、古代の天文学や占星術において重視された天体・神格の集まりです。現代の曜日の由来になるとともに、密教や神道、家紋など日本の伝統文化に深く根付いています。
●七曜(しちよう)とは
肉眼で見ることができ、背景の星座に対して位置を「動く(惑う)」天体である5つの惑星に、太陽と月を加えた7つの天体のことです。
構成: 日(太陽)・月・火星・水星・木星・金星・土星
現代への影響: これが中国から日本へ伝わった際、日々の暦(カレンダー)に割り当てられ、現代の「日・月・火・水・木・金・土」という曜日の仕組みになりました。
平安時代の貴族たちは、毎日「今日はどの曜日の神様が支配しているか」をチェックして行動を決めていました。
●九曜(くよう)とは
七曜に、インド占星術由来の「2つの架空の隠れた星(暗黒星)」を加えた9つの天体のことです。
密教や日本の星信仰では、七曜よりもこの「九曜」の形で祀られることが多く、人間の運命をより深く支配すると考えられました。
追加された2つの架空の星(羅睺と計都)
この2つは実在する星ではなく、日食や月食を引き起こす天文学上の計算ポイント(黄道と白道の交点)が神格化されたものです。・
羅睺星(らごうせい): 太陽や月を飲み込む巨大な魔神の頭とされ、日食・月食の直接の原因と考えられた非常に不吉な星です。
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計都星(けいとせい): 羅睺の胴体(または彗星・尾っぽ)とされ、こちらも突発的な災いや異変をもたらす星と恐れられました。
七曜・九曜の一覧
- 日曜(にちよう)太陽菩薩 太陽万物の王。光明と権力の象徴。
- 月曜(げつよう)太陰菩薩 月水や感情を司る。清浄と平穏。
- 火曜(かよう)熒惑星(けいわくせい)火星怒りや闘争、災火を司る。
- 水曜(すいよう)辰星(しんせい)水星知恵や学問、商業を司る。
- 木曜(もくよう)歳星(さいせい)木星徳や福、成長を司る吉星。
- 金曜(きんよう)太白星(たいはくせい)金星美や芸術、または軍事を司る。
- 土曜(どよう)鎮星(ちんせい)土星試練や忍耐、遅延を司る。
- 羅睺星(らごう)黄幡神(おうばんしん)(日食の交点)執念深く、大不吉をもたらす。
- 計都星(けいと)豹尾神(ひょうびしん)(月食の交点)突発的な不運、混乱をもたらす。

【七曜と九曜の表現】
星曼荼羅や現図胎蔵曼荼羅などに描かれる
九曜曼荼羅(くようまんだら)に仏を配すると、
真言宗や道中守護の札など信仰の対象となった。
九曜曼荼羅をかたどって文様化したものが「九曜文様」となる
●七曜・九曜曼荼羅は、七曜(太陽・月・五惑星)と九曜(七曜+羅睺・計都)を仏として図像化し、星供(ほしく)・北斗法で用いられる密教の
星曼荼羅の一形式です。 星曼荼羅の中では、北極星(妙見菩薩)→北斗七星→七曜・九曜→十二宮→二十八宿という多層構造の一層として描かれます。
主に個人や国家の「災い除け(息災)」や「運気向上(延命)」を祈る星供(ほしく)の儀式で本尊として用いられました。
構成要素
- 七曜曼荼羅: 日・月と五星(火・水・木・金・土)の7つの天体神を描いたもの。
- 九曜曼荼羅: 七曜に、蝕を引き起こす仮想悪星「羅睺(ラフー)」と「計都(ケイトゥ)」の2星を加えた9つの天体神を描いたもの。
描かれ方(姿形)
星々は単なる記号ではなく、中国風の装束を着た人物や、独特な姿をした神々として表現されます。
- 日曜(太陽): 馬に乗った姿や冠を戴く人物
- 月曜(月): 鵝(が:鳥)に乗った姿や月輪を持つ人物
- 火曜(火星): 怒りの表情を浮かべた多腕の異形姿
- 羅睺・計都: 頭部のみの恐ろしい姿や、蛇の身を持った姿など
- 中央:北極星・妙見菩薩 宇宙の軸を象徴する北辰妙見が蓮華座に坐し、剣と宝塔を持つ。 背後には北極星の光輪が輝き、法界の中心を示す。
- 第2層:北斗七星 妙見を囲む円環に七尊が配置され、寿命・福徳・延命を司る。 各尊は蓮華座に坐し、星名(貪狼・巨門・禄存・文曲・廉貞・武曲・破軍)が記される。
- 第3層:七曜・九曜 七曜(日・月・火・水・木・金・土)と九曜(羅・計を含む)が外周に円形配置。 各曜星は光輪を持ち、運命と時間の法則を象徴。
- 第4層:十二宮 十二宮神(獅子宮〜蟹宮)がさらに外側に配置され、季節と方位を守護。 各宮神は象徴動物や器物を持ち、胎蔵界の外院に対応。
- 最外周:二十八宿 二十八宿(昴宿・畢宿・觜宿・参宿・井宿・鬼宿・柳宿・星宿・張宿・翼宿・軫宿・角宿・亢宿・氐宿・房宿・心宿・尾宿・箕宿・斗宿・女宿・虚宿・危宿・室宿・壁宿・奎宿・婁宿など)が方形状に配置。
●星曼荼羅(北斗曼荼羅)との違い
広く知られる「星曼荼羅(北斗曼荼羅)」は、北極星や北斗七星を中心とし、その周囲に九曜や十二宮、二十八宿などを網羅した宇宙全体の総合図です。 それに対し、「七曜曼荼羅」「九曜曼荼羅」は、その中の「七曜」や「九曜」だけにスポットを当てて単独で独立させた曼荼羅です。特定の星の障りを取り除きたい場合や、より個別の祈願を行う際に用いられました。
- 羅睺(らごう、ラーフ)は、インド神話に由来するアシュラ(阿修羅)の一種で、日食や月食を引き起こす「捕らえる者」とされる凶星・怪星です。ヴィシュヌ神に首を斬られたが不死の霊薬を飲んでいたため、頭部(羅睺)と胴体(計都)が分かれて星となったとされ、インド占星術では九曜の一つに数えられます
- 計都(けいと、Ketu)は、インド神話や占星術(九曜)に由来する「影の惑星」で、日食・月食を引き起こす下降交点を指す隠曜です。羅睺(らごう)と一対の凶星とされ、災厄や誹謗を招く一方、精神的な成熟や解脱を司る星ともいわれます。
- 両部曼荼羅|別尊曼荼羅|星曼荼羅|唯識曼荼羅 | 十二宮|二十八宿 | 十界曼陀羅