浄土宗(じょうどしゅう)
平安時代末期に
法然(源空)によって開かれた、
阿弥陀如来を本尊とし「
南無阿弥陀仏」と念仏を唱えることで、亡くなった後に極楽浄土へ往生できると説きます。(
専修念仏)
「難しい修行や学問ができなくても、阿弥陀仏を信じて念仏を唱えれば救われる」 と教えました。
これは当時、多くの人にとって実践しやすい教えだったため、武士や農民、庶民に広く受け入れられました。
お題目
南無阿弥陀仏(なもあみだぶつ・なむあみだぶつ) :「
阿弥陀仏に帰依いたします、すべてを委ねます」という意味の仏教の言葉で、特に浄土宗や
浄土真宗などで唱えられる
念仏の中心的表現です。
南無(なむ):サンスクリット語の「ナマス(namas)」の音写語で、「礼拝」「帰依する」「お任せする」といった意味があります。
阿弥陀(あみだ):阿弥陀仏の略称であり、サンスクリット語の「アミターバ(無量の光)」と「アミターユス(無量の寿命)」に由来し、「はかりしれない光と命」を持つ仏さまを表します。
仏(ぶつ):サンスクリット語の「ブッダ(buddha)」の音写語で、「仏さま」を意味します。
歴史的背景(鎌倉仏教の中での位置)
法然は比叡山での修行の末、 「煩悩を断ち切れない凡夫でも救われる道」として念仏を選択。
1175年、吉水(よしみず)草庵で念仏を弘め、浄土宗が成立。
その後、弟子たちの解釈の違いから分派が生じた。法然の弟子である
親鸞が
浄土真宗を開くなど、日本の仏教文化に決定的な影響を与えました。
- 開祖:法然房源空(ほうねんぼうげんくう)(円光大師)
- 本尊:阿弥陀如来(あみだにょらい)
- 総本山: 知恩院(京都府京都市東山区)
大本山・七大本山:
・増上寺(ぞうじょうじ) 東京都港区 - 徳川将軍家の菩提寺
・光明寺(こうみょうじ) 神奈川県鎌倉市 - 関東における念仏道場の中心地
・善光寺大本願(ぜんこうじだいほんがん) 長野県長野市 - 善光寺の塔頭(たっちゅう)で、尼僧(にそう)の門跡寺院
・金戒光明寺(こんかいこうみょうじ) 京都府京都市 - 「黒谷さん」と呼ばれ、新選組の本陣が置かれた
・百萬遍知恩寺(ちおんじ) 京都府京都市- 大念珠を回す「百万遍念仏」の起源となったお寺
・清浄華院(しょうじょうけいん) 京都府京都市 - 皇室との関わりが深く、御所の近くに位置します。
・善導寺(ぜんどうじ) 福岡県久留米市 - 九州における浄土宗の最高拠点
他力本願:仏の救済(他力)を信じ、念仏を唱えることを重視します。
信仰の対象:仏教の道理を理解できない凡夫でも、
阿弥陀仏の平等のお慈悲を信じ、
念仏を称えることで救われるとされています。
お経:浄土宗の教えのよりどころとする三部経は、『
無量寿経』、『
観無量寿経』、『
阿弥陀経』です。
法然上人の探求:法然上人はこうした状況の人々を救う道を模索し、比叡山の奥にこもって
一切経を読み込み、
専修念仏の教えを見出しました。
大衆への広がり:それまでの貴族中心の仏教を、誰にでも開かれた教えとして広め、多くの人を救済しました。
法然の死後、弟子たちによって分派し、現代では主に「鎮西(ちんぜい)派」(現在の宗教法人・浄土宗)と「西山(せいざん)派」に大別されます。これに加え、さらに細かく西山三派(
西山浄土宗、
西山禅林寺派、
西山深草派)や、独立した「捨世派(しゃせいは)」などに細分化されています。
- 鎮西派(ちんぜいは)は、法然の弟子・聖光(弁長)が九州で広めた、現在の宗教法人「浄土宗」の主流となる流派です。念仏を基盤としつつ、善行による往生(諸行往生)も認める「二類各生説」を特徴とし、江戸時代に徳川幕府の庇護を受け、増上寺や知恩院を中心に教団の基礎を確立しました。
- 極楽浄土(ごくらくじょうど)は、大乗仏教において阿弥陀如来(阿弥陀仏)が住む、西方の遥か彼方にある清浄で安楽な理想世界です。この世の苦しみや悩み(四苦八苦)が一切なく、念仏を唱えることで誰でも死後に導かれるとされる、仏教における浄土教の最終目的地です。
- 念仏(ねんぶつ)とは、仏の姿や功徳を心に思い浮かべ(観念)、その名号を口に出して唱える(称名)仏教の修行です。一般的には「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と唱え、阿弥陀仏への帰依と救済を願う意味があります。
- 専修念仏(せんじゅねんぶつ)は、鎌倉時代に法然が浄土宗で広めた、他の修行(雑行)を捨て、ひたすら「南無阿弥陀仏」と念仏を唱える(称名)だけで往生できるとする教えです。身分や善悪にかかわらず、弥陀の本願(他力)により誰もが救われると説き、当時の貴族中心の仏教から民衆へと信仰を広げました。
- 浄土三部経(じょうどさんぶきょう)は、浄土宗や浄土真宗で最も大切にされる『仏説無量寿経』『仏説観無量寿経』『仏説阿弥陀経』の3つの経典の総称です。阿弥陀仏の救い(本願)や極楽浄土の様子、念仏による往生(浄土へ生まれること)が説かれています。法然がこれらを特に重要として選びました。
- 『仏説無量寿経』は、阿弥陀如来の「四十八願」と極楽浄土の荘厳を説く、浄土宗・浄土真宗で最も重要視される経典(浄土三部経)の一つです。上下2巻で、「大経(だいきょう)」とも呼ばれ、全ての衆生を救う「他力本願」の教えが説かれた、お釈迦様の真実の教えとされています。
- 『観無量寿経』(かんむりょうじゅきょう)は、浄土三部経の一つで、阿弥陀如来の極楽浄土を観想(イメージ)し、お念仏を唱えることで極楽往生できることを説く経典です。王舎城の悲劇(家族間の争い)に苦しむ韋提希夫人(いだいけぶにん)を救う物語を背景に、罪の深い凡夫でも救われる道が示されています。
- 阿弥陀経(あみだきょう)は、釈迦が阿弥陀仏の極楽浄土の素晴らしさを説き、その名を唱えて(念仏)往生することを勧める、浄土三部経の一つである。浄土宗や浄土真宗の法事・葬儀で日常的に読誦され、自力ではなく阿弥陀仏の慈悲で救われる「他力本願」の精神が説かれている。
- 西山派(せいざんは)は、法然の弟子・証空(西山上人)を派祖とする浄土宗の一派。阿弥陀仏の救いを信じ念仏を唱える教えを継承し、長岡京市の光明寺や京都の禅林寺(永観堂)などを拠点とする。現代では西山浄土宗、西山禅林寺派、西山深草派の3派に分かれて活動している。
- 一切経(いっさいきょう)とは、仏教のすべての経典をまとめた総称で、「大蔵経(だいぞうきょう)」とも呼ばれます。お釈迦様の教え(経・律・論の三蔵)に加え、インドや中国、日本で書かれた注釈書など5,000巻を超える膨大な書物で構成される、仏教聖典の集大成です。
- 日本の主要宗派:総本山・大本山一覧
- 増上寺・東京都
- 長谷寺・神奈川県
- 清凉寺・京都府
- 知恩院・京都府
- 光明寺・京都府