天(てん)
欲界六天、
色界十七天、
無色界四天を主宰する神々の総称。
仏教の「天(てん)」とは、人間界より上方にある「
天上界(てんじょうかい)」に住む神々であり、仏法と人々を守護する存在です。古代インドのバラモン教の神々が仏教に取り入れられたもので、
如来・
菩薩と並び信仰の対象となり、現世利益をもたらすとされています。
仏教の守護神:
仏や仏の教えを護る役割を担います。
現世利益:人々に福徳を与え、現世での安泰や繁栄をもたらすとされています。
天上界の住人:人間が生まれ変わる可能性がある
六道の最も上の世界に住む存在です。
古代インド由来:
仏教に敵対する神々や精霊も、仏教に帰依することで
護法善神(ごほうぜんじん)として「天」の仲間入りをしました。
「天」には、仏法を護持するインドの神々である「
天部」と、天に住む存在の階層である「
天界は(
欲界・
色界・
無色界)」の三つに分かれ、それぞれさらに細分化されます。
欲界六天、色界十七天、無色界四天を主宰する神々の総称。
天界(存在の階層)の分類
天界は、存在のあり方によって三つに大別されます。
・欲界(
よくかい):物質的な欲望や感情が存在する世界で、さらに六つの
六欲天に分かれます。
四大王衆天:須弥山の中腹に住む
四天王が司る世界。
三十三天:須弥山の頂上に住み、
帝釈天が住む世界。
・色界(しきかい):物質的な形は存在するが、欲望が浄化された状態の世界です。禅定の段階と対応しており、初禅から四禅まで六段階に分かれます。
・無色界(
むしきかい):物質的な形や欲望が全く存在しない、純粋な意識の世界です。四つの天(空無辺処、識無辺処、無所有処、非想非非想処)があり、天界で最も高い存在とされます。
仏像の種類として、「
天部(てんぶ)」という言葉が用いられ、代表的な天部には以下のような神々がいます。
天部(護法神)の種類
仏教の「天」は、インドの神々が仏教の守護神として取り入れられたものです。
●四天王:仏法の守護神で、須弥山の中腹に住み、仏法を守護するとされます。
持国天(じこくてん)東方を守護する
増長天(ぞうちょうてん)南方を守護する
広目天(こうもくてん)西方(あるいは須弥山の西)を守護する
多聞天(たもんてん、
毘沙門天)北方を守護する
●貴顕天部(きけんてんぶ):貴く尊いとされる神々です。
守護神である「天部」のうち、貴族や王族のような華やかで優美な姿をした神々の総称です。インドの神々が仏教に取り入れられた存在で、天冠(宝冠)をかぶり、上品な衣装をまとった姿(寂静相)が特徴です。まるで貴族や貴婦人のような優美な姿をしています。
梵天:創造を司る神。
帝釈天:多くの神々を従える仏法の守護神。
吉祥天:幸運をもたらす神。
弁才天:音楽や弁才、豊穣を司る神。
大黒天:七福神の一柱で財福を司る。
●武装天部(ぶそうてんぶ)
甲冑を身につけ、兜をかぶり武器を手にしている武人像です。
例:
金剛力士(仁王)、
四天王、
十二神将、
韋駄天
●八方天は、仏教の守護神である十二天のうち、東西南北と北東・南東・北西・南西の「八方位」を守護する8つの天部の総称です。
帝釈天(東):インドラ神
火天(東南):アグニ神
焔摩天(南):ヤマ神
羅刹天(西南):ラクシャサ神
水天(西):バルナ神
風天(西北):ヴァーユ神
毘沙門天(北):クベーラ神
伊舎那天(東北):シヴァ神
八方天+四天=
●十二天:東西南北と天地、日月を司る12の護法神です。
梵天(天):ブラフマー神
地天(地):プリティヴィー女神
日天(日):スーリヤ神
月天(月):チャンドラ神
*八方天*

姿
「天(天部)」の姿は、もともとインドの神々が仏法を護るために仏教に取り入れられたもので、神将のような武装した姿、貴族のような優美な姿、女神、鬼神など多様で、決まった姿はありません。
金剛力士や
四天王のように忿怒の表情で甲冑を身につける武装天部と、
吉祥天や
弁才天のように柔和で慈愛に満ちた表情の
貴顕天部(女神も含む)に大きく分けられ、それぞれが仏法や人々を守護する役割を担っています。
・女神形(じょしんけい)
女性の姿をした天部で、福徳や芸能の神として信仰されます。
例:
弁才天、
吉祥天
・鬼神形(きじんけい)
鬼の顔をしている天部や、鳥や動物の顔をした天部もいます。
例:
鬼子母神、
風神・雷神
ご利益
仏教の「天」(天部)の多くは、
如来や
菩薩に付き従い仏法や信仰者を護る役割を担いますが、同時に現世利益をもたらす福徳のご利益を持つとされています。例えば、
大黒天は商売繁盛、
吉祥天は豊穣や家庭の平和、
毘沙門天は金運や厄除け、
弁才天は芸術や学業、韋駄天は盗難・火難除けや健康など、それぞれが持つ特殊な能力によって多様なご利益をもたらします。
天部の役割
仏教における天部は、仏様や仏道を信仰する人々を護るという大きな役目を持ちます。これらの神々が、信仰の邪魔になるものから守護したり、信者の願いを現世で成就させるための助けとなったりします。また、古代インドの神々が仏教に取り入れられた背景もあり、人々に親しまれ、人気を集めてきた天部も多く存在します。
- 天部(てんぶ)は、古代インドの神々が仏教に取り入れられ、仏法やその信仰者を守護する役割を持つ神々の総称。如来・菩薩・明王に次ぐ4つ目のグループで、天上界(天界)に住み、武装した姿や貴族のような姿で現世利益をもたらす存在。代表的な存在には四天王、弁財天、吉祥天、帝釈天、韋駄天などがいる。
- 六欲天(ろくよくてん)とは、仏教の宇宙観における欲界(食欲・性欲などの欲望がある世界)の最上部に位置する6つの天界の総称です。須弥山(しゅみせん)の低層から頂上、そして空中にかけて存在し、天人(神)が住む場所です。欲望が残るため欲界とされますが、人間界よりも遥かに快楽・長寿な世界で、下から以下の6つで構成されます。
四王天(しおうてん):四天王が住む
忉利天(とうりてん):帝釈天が支配する33の神々の世界(三十三天)
夜摩天(やまてん):空中にあり、時を刻む天
兜率天(とそつてん):弥勒菩薩が住む
楽変化天(らくへんげてん):欲望を自在に創り出す
他化自在天(たけじざいてん):他者の欲望を自在に楽しむ、第6天魔王の世界
- 金剛力士(こんごうりきし)は、仏教の寺院門前(仁王門)に安置される、守護神(護法善神)の「天部」です。口を開いた「阿形(あぎょう)」と閉じた「吽形(うんぎょう)」の対で配置され、仏法を守り邪悪なものを防ぐ役割を持ち、別名「仁王(におう)」とも呼ばれます。
- 伎芸天(ぎげいてん)は、仏教の守護神「天部」の一尊で、諸芸上達・福徳円満の神とされる天女です。ヒンドゥー教のシヴァ神(大自在天)の髪の生え際から誕生したと伝えられ、その美貌と楽器演奏・舞踏の才に長けていたことから芸能の女神として信仰されています。日本には秋篠寺(奈良)の木造伝伎芸天立像(重要文化財)が唯一の古例として知られています。
- 鬼子母神(きしもじん/きしぼじん)は、他人の子を食べる悪鬼から、お釈迦様に諭されて安産・子育ての守護神(天部)へと転じた仏教の神。千人の子の母であることから多産を象徴するザクロを持ち、特に日蓮宗で法華経の守護神として信仰される。関東の代表は入谷、雑司ヶ谷、市川の各鬼子母神。
- 風神・雷神(ふうじん・らいじん)は、風と雷(雨)という荒ぶる自然現象を神格化した、日本で信仰される一対の神です。風袋(ふうたい)を持つ風神と、太鼓を鳴らす雷神の姿が一般的で、古くから恵みの雨をもたらす豊穣の神や、厄災を払う守護神として畏敬されてきました。
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